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 独自に調合した釉薬により生み出される黄色味を帯びた乳白色の陶器に、豪華絢爛な絵付けが施されています。 焼成中に薪を燃料として投入することで陶器の肌が刻々と変化し、窯から出して冷ます過程でできる貫入が風情のある風合いに仕上がっています。 鈴木爽司氏の絵付は、花が咲き鳥が飛び交う自然を深く観察することでリアリティの中に高い美意識が見られます。鈴木爽司氏がモチーフとする鳥は身近な小鳥が多く、これは目にして観察したもののみを絵付の題材とする矜持によるものです。金銀や鮮やかな色彩の風景は、幻想的な自然の一瞬を切り取ったようで見るものを魅了します。

中国より伝来し日本で独自の文化として花開いた茶道の中でも『楽焼』は特別な地位にあります。粗い土を手で捏ねて成形し高温の窯で焼き上げることで、荒々しくも優雅な茶碗ができます。窯からあがった高温の器を急冷することで生まれる黒色はしっとりとした光沢があります。他の焼き物とは全く異なる価値観や美意識からつくられた黒楽茶碗は、日本の陶芸や茶道を象徴する器です。